ロシアによるウクライナ侵攻では、米民間企業の人工衛星がロシア軍の動きを細かく捉え、注目を集めている。 観測データは、戦争犯罪疑惑の追及でも役割を果たしている。 https://news.yahoo.co.jp/articles/76152608569b1d985bdc7732333517c188e6be4f 米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は21日、ウクライナ南東部マリウポリ郊外を3月から4月上旬に撮影した 4枚の衛星画像を掲載した。画像では日ごとに直線的に並んだ穴が増える様子が分かる。記事は、約300に達した穴が 「集団墓地とみられる」と分析し、世界で反響を呼んだ。 撮影したのは米宇宙企業マクサー・テクノロジーズの衛星だ。マクサー社は自社の衛星で撮影した高解像度の画像を、 各国政府や報道機関などに販売し、一部は無償提供している。取材に応じた同社幹部のスティーブ・ウッド氏は 「報道機関への画像提供は偽情報拡散への対抗に役立つ。侵攻とそれに伴う人道的危機を記録するために画像の共有を続ける」と話す。 国連によると、1957年以降、衛星などの人工物は世界で計1万2000基以上が打ち上げられ、近年は 年間1000基を超えるペースで増えている。その多くが民間企業の衛星だ。 電子部品の高性能化や小型化に伴い、衛星も小さく、安価で製造することが可能になった。カメラの性能も向上し、 民間衛星でも地表の数十センチ大の物を見分けられる精度だ。 民間衛星のデータは、国際刑事裁判所(ICC)などによるロシア軍の戦争犯罪疑惑を巡る捜査にも活用されている。 米紙ポリティコによると、以前は各国の軍や情報機関しか得られなかったようなデータが民間企業から入手できるようになり、 巣Nサー社と同様、衛星を運用し、画像を販売する米宇宙企業プラネット・ラボの広報担当者は「我々のデータは 各国政府や人権団体が重要な情報を記録するのに役立つ。進行中の出来事について客観的な見方を提供できるからだ」 と意義を強調する。